タイヤとサスセッティング
段つき磨耗したものやタイヤの真ん中だけ減ったタイヤでサスセッティング
してもいい結果は出ません。
切れ込みなどの症状が出てたとしてもサスセッティングが原因ではなく
タイヤに問題がある場合も結構あります。新品がベスト
サスセッティングしている最中にタイヤを交換しなければいけない
状況になった時は同じ銘柄のタイヤにしよう。
同じタイヤサイズでもJIS規格の中でかなりの幅があり 幅、高さ、ラウンド形状
数ミリ単位で違います。
タイヤの種類でも(タイヤメーカーも)構造違いにより剛性が異なり(上記のことを含め)
同じ新品同士でも違う乗り味になってしまい磨り減ったタイヤから
新品タイヤに変えたときぐらいに変化してしまうものもあります。
サスセッティングはタイヤ込みで考えよう。違う名柄のタイヤに変えたときには
リセッティングが必要の場合が多い。
50扁平から55編平(190/50から190/55など)にする人もかなりいるけど
車高調整機能で高さを調整(この場合は低く)できないバイクであればお勧めしない。
どうしてもつけたい人は車高調整つきリプレースサスペンションに変えよう。
でも一番気をつけなきゃいけないのは 空気圧かな。
メーカ指定の空気圧から下げて走っている人意外と多い行けど
空気圧0.3下げただけでも車高低くなってしまいます。
車高調整で数ミリ下げた症状がちゃんと出ます。
メーカー側は指定空気圧でオートバイの高さを管理してるので補正する自信が
なければいじらない方がいい。
公道で空気圧低くした方がいいと言う考えも 真空管時代 の考えです。
サーキット走行でのタイヤの使い方と公道でのタイヤの使い方はまったく別物だそうです。
体重差による サスセッテイング。
はっきり言ってあまり差はない。実例をあげると
Bikers Station 佐藤編集長 体重95Kg(現在84Kg)レーシングライダー 和歌山 利宏さん55Kg
自分 66Kg 目先のことで見ると佐藤編集長と和歌山 さんとの体重差は約42パーセント
だけどオートバイ込み(220Kgとした場合)で考えると 約13パーセント しかもこの数値は
止まっている値で走っているときの値ではない。ブレーキしたり加速したりコーナーリングもする。
いろんな要素が絡んでもっと差がなくなっていくもんだ。
良いオートバイでセッティングある程度出た車両なら 3人が3人とも良いという。
変わったとしても プリロード 1/4から1/2回転で収まる。変えないときの方が多いいかな。
空車1Gと乗車1Gの差 (サグを取る) 和歌山さんが20mmで佐藤編集長が25mmその差5mm
佐藤編集長の1G20mmにする為 プリロード掛けたとたん跳ねるはピッチングしないはで
3人とも とても乗れたものじゃなかった。(サグとっても無駄だという実験)
(サグを取るも 空車1G、乗車1Gと共に昔はやった流行語 現代じゃーさほど通用しません。)
けして編集長が遅いわけではない。峠では和歌山さんやケンツの川島さんと対等に走れるんだよ。
たぶん当店のお客で(このブログ読んでる人も)佐藤編集長より早く安全に走れる者はあんまりいない。
オートバイ解析能力も高くホンだの設計者やテストライダーと対等に話す人なんです。
見た目 頭薄くて太っちょのおじさん(ごめんなさい)だからと言って見た目で判断しちゃーいけないよ。
国際A級ライダーが言うことよりも佐藤編集長の方が断然信用できる。
早く走れる方が何でも分かっていると思うのは 大間違い。早く走ることと
解析、セッティングできるとは違うのだよ。
何事も 目先のことばかし見てると 進歩しないよ。
空車1G,乗車1G その2
何の為にサスセッティングをするのか? まずはよく考えてみよう。
プリロードアジャスターとは 走行しているときの乗り心地(ごつごつせず かつ ふわふわしない)と
走行中のアクセルON,OFF時のピッチングモーションを決定するものだ。
奥の奥、フルボトム付近の調整はバネレートおよび油面調整(フロントフォークの場合)になる。
けして空車1G,乗車1Gを決めるものではない。床の間に飾っておくバイクなら 有 だろうが
オートバイとは 走って何ぼ のものである。
乗り心地、ピッチングモーションが決まったときに前後の走行中の高さの ずれ が生じたときには
フロントフォークの突き出し量や ショックの車高調整で補正する。
空車1G,乗車1Gなんかは常識的な範囲に入っていればそれでいい。初心者の目安ぐらいは使えるかな。
まずは自分のバイクのショックのグラフを書けるようにしよう。
ひとつのグラフに バネレート、プリロード、スプリングセット長 リバウンドアジャスター
LOWコンプ油面、バルブのシムの配列による減衰力が書けるようになると
いろんな事が見えてくる。(最初は分かるとこだけでもいい)
慣れてくるとどんな状況の時にはどこの部分を使っているか分かれば
不具合な所だけ変更することが出来るようになる。
つづく
シリンダーボーリング
シリンダーボーリング オーバーサイズのピストンを使用する時に
ピストンに合わせてシリンダーを拡大する作業。
この作業は自社ではやってないので外注に出す事になります。
外注に出す前にやっておかなければいけないのは まずは ピストン計測。
20℃の恒温室で計ります。なぜ 20℃の恒温室で計るかというと
温度によりピストンの直径が変わってしまうからです。
ワイセコ製 鍛造ピストン(80Φ GSX1100R用)で実験したところ
1℃で0.0015mmの膨張が確認できました。
恒温室で16℃から計り始め(非接点温度計にてピストン計測)35℃まで
計測した結果です。
冬に計測した場合と夏に計測した場合とでは温度差30℃とすると
なんと0.045mm変化する事になり ほぼ ピストンクリアランスと
同じくらいの値になってしまいます。
実際に計ってみると4気筒の場合 ばらつき があり(±0.01mm位)
一番小さいピストンと大きなピストンの直径差が0.02mm
を超える物も存在します。
セットで来てしまうものなどで仕方ないですがね。
計ったなら今度はどのピストンがどの気筒にするか決めます。
空冷エンジンだと 両端 2気筒(1番、4番)と真中 2気筒(2番、3番)
とでは走行風の当たり方が違う為膨張率が変わってしまいます。
水冷エンジンでは水路により膨張率が変わります。
ラジエーターからの冷却した水がどこから入りどこを通ってどこに抜けるかを
考慮します。
車の直列6気筒のエンジンで前から冷却水が入り後ろに抜けるタイプになると
だいぶ変わります。
ピストンクリアランス自体を変えることもあるくらいです。
ピストンクリアランスもメーカー指定のクリアランスにするとは限りません。
慣らし終了後 物によっては0.02mmから0.03mm縮むピストン(変形?)
もあり経験、ノウハウ、実験データーによって決めます。
このデーターを元に外注先の内燃機屋さんに出します。ここが一番重要
今までに何十件の内燃機屋さんに出しましたが かなり差が有ります。
雑誌に数多くでてるとか 人の噂も 全然 あて にはなりませんでした。
自分で探すしかないと。
後は その内燃機屋さんの誰が担当するかによっても変わってしまいます。
同じ機械で加工するのにね。
加工出来上がってきたら 指定のクリアランスになっているかを
実際に計測します。 表面の仕上がり具合も(クロスハッチなど)
今の内燃機屋さんの担当者はかなり信用してますが
以前出したところのもので ひどいのもあり クリアランスばらばらで
斜めにボーリングしてあったものもあった。3回やり直させたが
寸法出ずに けんかして二度と発注しなくなった。
もし 後計測しないで組んでしまったとしたら とても恐ろしいことです。
計測したら データー表を担当者にFAXしてます。
FAXする事で 当社は後計測してますよとアピールするんだよ。
良く仕上がっていたら お礼の文も添えてね。担当者との信頼関係も
大事です。
できれば ダミーヘッドボーリングしたほうがいいですよ。
シリンダーとはシリンダーヘッドとクランクケースに数十トンで
挟まれているんだよ。
真円にボーリングされてても数十トンで挟まれれば変形します。
ダミーのヘッドとクランクケースを装着して変形させたものを
ボーリングするのがダミーヘッドボーリング。
装着料取られるが どうせだったらダミーヘッドボーリングにしましょう。
(ダミーヘッドない車種もあるので要確認。別途料金で製作可能)
今出してる内燃機屋さんの工場内の温度は24℃に保たれてる。
(4℃の違いはちゃんと修正してます。)
工作機械も電源入れて指定温度になるまで機械の暖機していた。
このような気使いがあるから いい仕事ができるんだなと感心した。
ただし今、エンジンオーバーホール受けてませんけど単品加工なら
受け付けてます。
空車1G,乗車1G
数年前の全日本ロードレース筑波選手権でスズキ系某チーム3代目K現監督と ホンダの大御所
Oさん と雑談しているときに 空車1G 乗車1G の話になった時のこと。
自分 「kさん(スズキ系現監督) 乗車1G とか採ってる?」
kさん 「何で止まってるもの測るの? 重要なのは走ってるときの高さでしょ」
自分 「そぉーだよねー(かなり大きな声で)」
Oさん 「ただの目安だよ きちんと測っても意味ないよ。」
自分 「だぁよぉねぇーーーー」
空車1G 乗車1G取るとはバネレート合ってることが大前提 合ってなかったらまったくの無駄。
サスセッテイングやっていて ちょっといじればすぐに1Gなんか変わってしまうものなのだ。
1Gを重視しすぎて1G を一定の位にしようとしすぎると走行中の高さ(走行1G)が
変化してしまいなんのためにセッティングをしてるのか分からなくなってしまう。
乗車1Gなんて純正のサスペンションからリプレースのショックに変えたときに
まあこの辺からスタートするか,位のものだ。減衰力ちょっと違えばば走行1Gなんて
簡単に上下してしまう。
大事なのは走行1Gとリバウンドストロークの関係です。
この間も 某雑誌の企画 (自分とは関係ない企画) で担当者N君が
CB110 のリアーサスペンションをリプレースのショックに変えた時に
ショック長、バネレート、プリロード 乗車1G 純正と同じくセットしたのに走行中の
リヤーの高さか高くなってしまった。結局小澤さんが1G測るの意味がないといってたのが
分かりましたと報告があった。
昔から1Gを測ることがサスセッティングの第一歩みたいに言われているし 書かれているが
自分でサスセッティングを経験してみれば重要なのは 走行1G (走行中の高さ)
だと言うことが分かるはずです。
空車1G、乗車1Gを測る とは、昔に はやった(セッテイング用語の流行語) 言葉です。